はじめに
学級経営は「戦略」が大切です。
前回の記事では、学級経営案の概要とその必要性を「地図」という比喩で紹介しました。
今回はその続きを具体的に解説します。
先生方が実際に自分の学級経営案を作り始められるように、ステップごとに整理していきます。
完成した学級経営案はこちらです。

Step1|学級の柱を決める
まずは学級の中心に置きたい「柱の言葉」を決めます。
これは「どんなクラスにしたいか」を示す合言葉であり、教師理念とも直結します。
例えば「仲間を大切にする」「挑戦を楽しむ」「時間を大切にする」など、短くシンプルでよいのです。
教師理念は「学級経営・授業づくり・校務分掌」の三つから構成されます。
その中でも学級経営にかかわる部分を、子どもにも伝えられる形で表したものが、この柱にあたります。
教師理念については、以前の記事で詳しく解説しています。ご覧ください。
Step2|学期目標を一言で示す
次に、1学期・2学期・3学期それぞれに一言の目標を設定します。
例:1学期=安心、2学期=挑戦、3学期=感謝
こうした「学期目標」があると、行事や授業で判断に迷ったときに、自然と指針になります。
例えば運動会の準備で「挑戦」がテーマなら、子どもに新しい役割を任せてみる。
学期末のまとめで「感謝」がテーマなら、仲間への言葉をクラス全体で伝え合う。
こうして学級活動が一つの方向にまとまります。
Step3|行事と活動を整理する
学級経営案の中で重要なのは、年間の行事や日常活動を「育てたい力」と結びつけることです。
事例
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運動会=協働や挑戦
練習が思うように進まない時「挑戦の2学期だから最後までやり切ろう」と声かけする。
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音楽会=表現力や協力
「自分の声を出すことも大事。でも、友達と合わせるともっと素敵になるよ」と伝える。
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テスト=計画性
復習を直前に詰め込むのではなく、2週間前から計画を立てて取り組む習慣を育てる。
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委員会・清掃活動=責任感や貢献
掃除の当番を忘れた子には「自分の場所を最後までやり切ることも責任感だよ」と示す。
こうした関連づけをしておくと、先生の声かけが一貫し、子どもも活動の意味を理解しやすくなります。
Step4|コア活動を決める
行事や日常に加えて、毎週必ず回す活動を決めると、学級が安定します。
これを私は「コア活動」と呼んでいます。
例:
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振り返りジャーナル(毎日や週末に一言ふり返り)
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クラス会議(課題を話し合い、次の一手を考える)
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褒め言葉のシャワー(仲間のよい行動を言葉で伝える)
大切なのは、まずは1つだけ決めてシンプルに回すことです。
私は「振り返りジャーナル」を導入しています。
短い文章でも子どもが自分を振り返る習慣がつき、個別支援のヒントにもなります。
Step5|学級経営案を形にする
これまでの内容を一枚のフォーマットにまとめます。
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学級の柱
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学期目標
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行事と育てたい力
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コア活動
をそれぞれ書き込み、A4サイズ1枚に整理しましょう。
完成したら、週案ノートの表紙裏に挟み、常に目に入る場所に置くのがポイントです。
金曜の退勤前に読み返せば、翌週の指導や週案にすぐ反映できます。
配布フォーマットも用意しましたので、記事を読みながら書き込んでみてください。
Step6|つまずきを乗り越えるヒント
学級経営案づくりで多い悩みと対処法をまとめました。
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言葉が浮かばない → 仮で3語を書いて翌日1語に絞る。
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行事欄が埋まらない → 大行事+日常活動も書く。
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コア活動が決められない → まずは1つに絞り、週案に固定。
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書き込みに時間がかかる → 30分で仮完成を目指す。
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続けられるか不安 → 週案ノートに挟み、金曜15分で必ず見返す。
完璧でなくても、形にすること自体が大きな一歩です。運用しながら修正していけば、自然と学級に合った経営案へ育ちます。
まとめと次回予告
学級経営案は、担任の迷いを減らし、子どもの安心感を支える“地図”です。
仮でもいいのでまずは1枚仕上げてみましょう。
次回の記事では「学級経営を安定させるコア活動」について詳しく紹介します。
振り返りジャーナルやクラス会議など、毎週必ず回す仕組みをどう設計するかを解説します。
「ライフワークゼミ」では、先生がより気軽に働ける環境づくりをテーマに、週案ノートの活用法や学級経営の工夫を発信しています。
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