導入
学級経営は戦略を立てて動くことが大切です。
学期目標や行事計画を見通して学級経営案を作ることは、その第一歩になります。
しかし、戦略を立てたとしても、日々の学級は予想外の出来事に揺さぶられます。
授業進度の遅れ、行事の変更、急なトラブル…。
教師も子どもも落ち着きをなくす瞬間はどうしても出てきます。
そんな中で学級を支えてくれるのが、毎週必ず回す「コア活動」 です。
コア活動とは「学級の文化をつくる定例の活動」。
1週間というリズムの中で子どもと教師が安心できる仕組みになります。
今回は私が特に効果を実感している5つを紹介します。
コア活動①:振り返りジャーナル

概要
振り返りジャーナルは、毎日の生活や学びを子どもが短く書き残す活動です。
数行でよいので「今日できたこと」「次にがんばりたいこと」を記録します。
具体的な運用
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1日5分、帰りの会で書く
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書いた内容を週末に振り返り、自分で「できたこと」と「課題」を見直す
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担任はコメントを添えることで、子どもの小さな変化を励ます
効果
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子どもは「自分で考えて振り返る」習慣がつく
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教師は個別支援のヒントを得やすくなる
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学級全体で自己評価と改善を文化として根付かせる
コア活動②:自主学習

概要
自主学習は、家庭学習を「クラス全体の学び」に高める取り組みです。
宿題とは異なり、内容や分量は子ども自身が工夫します。
具体的な運用
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ノートに自由課題をまとめる形式にする
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週1回、発表や掲示で「見てもらえる場」を設ける
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取り組みの工夫を友達同士で真似できるようにする
効果
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学習への主体性が育つ
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家庭学習の文化が学級に広がる
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授業外での学びが子ども同士をつなげる
コア活動③:学級通信&週案

概要
週案といえば教師が見るものと思います。
しかし、子どもに週案を共有して、「目標設定や振り返り」にも有効に使用できます。
具体的な運用
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週初め:配布された1週間の時間割を見て、行事や授業の山場を確認
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自分なりの目標を一言で(例:「音楽会の練習をがんばる」「算数の計算をていねいに」)
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週末:目標を振り返り、「できたこと」と「来週の課題」をまとめる
効果
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子どもが「先を見通して→取り組んで→ふり返る」リズムを経験できる
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学級全体が同じ視点で週をとらえるため、生活に落ち着きが生まれる
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担任は子どもの目標意識を把握でき、支援がしやすくなる
コア活動④:クラス会議

概要
クラス会議は、子どもが自分たちで課題を話し合う時間です。
教師が解決策を与えるのではなく、子ども同士で意見を出し合う点に意味があります。
具体的な運用
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週1回10分〜15分、議題を一つに絞って行う
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議題例:「掃除の取り組みを見直そう」「休み時間の遊び方を考えよう」
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子どもが進行役を務め、教師はサポートに回る
効果
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民主的な雰囲気が育つ
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子どもに責任感と自治意識が芽生える
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教師の負担も軽減され、学級運営が持続可能になる
コア活動⑤:褒め言葉のシャワー

概要
教育実践家・菊池省三先生の取り組みとして広まった活動です。
互いのよい行動や努力を言葉にして伝える習慣です。
具体的な運用
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週末に「今週見つけた友達のよいところ」を一言ずつ伝える
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書いたカードを掲示したり、全員で読み合うことで効果が広がる
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小さな頑張りや普段の努力も光を当てられる
効果
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子どもの自己肯定感が高まる
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学級に温かい雰囲気が生まれる
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ネガティブな言葉が減り、安心して過ごせる場になる
コア活動を選ぶときの視点
コア活動はたくさん取り入れればよいわけではありません。
大切なのは 「続けられるか」 と 「学級に必要か」 の2点です。
選び方のポイント
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教師の負担が少なく、短時間で回せるものか
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子どもが主体的に関われる活動か
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学級の課題に合っているか
(例:落ち着きがない → 週案振り返り、仲間関係 → 褒め言葉のシャワー)
まずは1つだけ選び、シンプルに回していくことをおすすめします。
まとめ
コア活動は、学級に安定感をもたらす「毎週の定点観測」です。
戦略を立てるだけでは揺らぐ日々の学級に、安心のリズムを与えてくれます。
振り返りジャーナル、自主学習、週案振り返り、クラス会議、褒め言葉のシャワー…。
担任が「これだけは大切にしたい」と思える活動を1つ選び、続けること。
それが子どもの安心、学級の安定、そして先生自身の余裕につながります。
ライフワークゼミについて
「ライフワークゼミ」では、先生がより気軽に働ける環境づくりをテーマに、週案ノートの活用法や学級経営の工夫を発信しています。
Instagram(@lifework_semi)でも実践例を紹介していますので、ぜひご覧ください。


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